能面は人面の彫刻的要約であるある探検隊
能面は人面の彫刻的要約である。従つてそこには彫刻的省略と誇張とがある。
しかもそれは概ね平時の人面を表徴するよりも、或る劇的情緒の表現に堪へ得る種類の人面を表徴する役目を持つ。
それが或る特定の情緒のみに局限せられず、或る性格のもののあらゆる場合に於ける表現に堪へ得なければならず、勢ひ能面そのものの絶対表現は或る定まつた性格の中核的内面世界の核心を表徴するものとなる。
いはば八方睨みの竜の眼のやうに、その性格としての中正の一点を捉へねばならないのである。